この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
クレジットカード会社からキャッシングをしていた債務を完済し、司法書士に依頼して過払金の調査をしてもらったところ、過払金は約20万円程度と言わました。取引期間が長いのに、そのようなことがあるのでしょうか?
解決への流れ
山田弁護士に依頼して、取引履歴を取り寄せて調査したところ、取引の空白期間が約3年ありました。クレジットカード会社が、「取引が途絶する前の取引の過払金は時効で消滅した」という主張をしており、司法書士は、過払金の時効消滅を前提として過払金額を約20万円と言っていたことが分かりました。そこで、山田弁護士に依頼して、「過払金の計算は、取引の空白期間があっても一連一体で計算するので、過払金は時効消滅していない」という主張をして、裁判を起こしました。裁判所の仲介のもと、最終的に、こちらの主張を大きく反映させて、120万円の過払金返還で和解しました。
取引の途絶期間がある場合には、①カードの基本契約を維持したままで、取引を再開する際に第2の基本契約を締結していない場合と、②基本契約自体が別個であり、取引を再開する際に、第2の基本契約を締結した場合、の2種類があります。この2種類を区別せずに、どちらのケースにおいても、最高裁判所平成20年1月18日判決が適用されると理解している一部の司法書士等(場合によっては裁判官)もいるようですが、これは誤解だと考えています。最高裁平成20年1月18日判決は、第2の基本契約を締結した場合を前提とした裁判であり、理論的に見ても、基本契約が別個であることに着目したものです。最高裁平成20年1月18日判決以降、「第2の基本契約が締結され、取引の中断期間が3年程度ある事案」については、裁判実務上、別個で計算することが多い状況ですが、同一基本契約内で取引の空白期間が存在するに過ぎない相談者様のケースは、これとは別異に考えるべきです。そのような主張が一定程度認められ、120万円の過払金返還という内容で和解が成立しました。