この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
依頼主の父親が死亡し、母親(配偶者)と依頼者の兄、姉との間で遺産分割について協議していました。父母は、兄と同居していたので、兄は兄嫁とともに父の面倒をみていたこと、父親が死亡前3か月ほど入院していた際には、毎週病院へ通っていた事実などがありました。これらを理由として、兄は寄与分を主張し、自身が取得する遺産が増額されるべきだと主張していました。
解決への流れ
父親の生前の生活状況などを調べるため父親名義の通帳の履歴を取り寄せたり、父親のディサービスの記録などについて調査しました。デイサービスの記録をみると父親が母や兄嫁についてはよく話しているが、兄とは対立しているような様子がうかがえました。また、父親名義の通帳を確認すると定期的にまとまった金額が引き下ろされていました。父母の生活費や父の入院費用について高額な支出がなかったこと、兄の車や兄の子どもが首都圏の理工系の私大を卒業していたこと等、兄の家族の家計について、兄夫婦の収入を考えると、父母の年金収入から援助を受けていたことが推測されました。これらの事情を指摘し、兄の寄与分を否定して、法定相続分を基準にして和解が成立しました。
この事案では、父親の年金から兄の家族が援助を受けていたという事情がありました。そこで、生前贈与にもあたるのではないかという旨主張して交渉したところ、兄も寄与分の主張はしないことで合意しました。このケースは、裁判外で和解できましたが、裁判を念頭に有利な主張をするためには、どのような事実を確認すべきかなど、弁護士にご相談いただければ、具体的なケースでアドバイスすることができます。