この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
相談者は、繁華街のビルの1室で10年以上歯科医院を営業していましたが、賃貸人であるビルの所有者より、老朽化によりビルを取り壊すため、契約期間満了により明け渡して欲しいとの要請を受けました。相談者は、移転することについてはやぶさかではないものの、移転に際しては移転先となる新たな歯科医院の工事費用や設備費用が必要となるため、相当な立退料を求めていました。
解決への流れ
立退料について話し合いによる折り合いがつかなかったため、所有者は建物明渡訴訟を提起しました。しかし、一審では建物の老朽化を理由とする契約の終了が認められず相談者が勝訴したため、控訴審において相談者が希望する立退料を支払う和解が成立しました。
建物賃貸借契約においては、契約期間満了であっても、賃貸人が明渡を求めるためには正当事由(立退料の支払を含む)が必要です。本件は、立退料の支払を惜しんだ所有者が建物の老朽化を理由とする契約終了を主張しましたが、そのような主張が容易に認められるはずもなく、相談者が十分な立退料を得ることができました。