この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
依頼者は、寝たきり状態の弟(被相続人)を、弟の自宅で一緒に暮らしながら2年ほど介護・看病していました。一方、妹は、離れた地域に住んでおり、弟の看病はほとんどしませんでした。そして、弟がなくなった後、依頼者は、未払いの治療費や葬儀代金を全て自己負担した。しかし、妹は、突然、弟の財産を2分の1ずつ分割したいと主張して遺産分割調停を申立てました。依頼者は、当初、一人で調停に臨みましたが、思うように話ができず、調停員からは財産を2分の1ずつ分配してはどうかと言われました。依頼者は、本当に2分の1ずつが正しいのかを確かめたくて、弁護士のところに相談に行くことにしました。
解決への流れ
私は、依頼者に対し、自分の生活を犠牲にしてまで弟の看病をしていたのに、何もしていない妹と2分の1ずつ分配するのはおかしいと説明しました。そして、代理人に選任されたのち、病院の診断書や介護に要する費用等必要な資料を収集し、療養介護に対する寄与分・医療費・葬儀費用の公平な負担を求めました。その結果、預貯金は2分の1ずつ分割しましたが、寄与分として数百万円相当の不動産を取得することができました。
依頼者は、お金ではなく、弟のことを大切にしなかった妹に対して、なんとか一矢報いたいという気持ちがありました。しかし、自分一人では、思うように話ができなかったようです。そこで、依頼者が、どれだけ弟に尽くしてきたかということ示すために、調停で示せるように診断書や第三者(介護業者)に頼むといくら費用が掛かるのかと資料を収集するとともに、資料とリンクするような形の陳述書を作成しました。その結果、相手方から一定の譲歩を勝ち取り、数百万円の寄与分を認めてもらいました。本件では、ただ単に、勝った負けただけでなく、依頼者の気持ちを、しっかりと表現すること、相手に伝えることも弁護士の仕事だと痛感した事件でした。