この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
ご相談者様は亡くなられたご両親の世話をずっとしてきました。葬儀などもご相談者様が取り仕切られました。お父様が亡くなられた後、遺産分割の協議になりましたが、ご依頼者様は亡くなられたご両親のお世話をされていたにもかかわらず、他の相続人は法定相続分すなわち等分での相続を譲らず話し合いは平行線を辿りました。
解決への流れ
領収証等の介護の客観的な証拠に乏しい事案でしたが、調停内で、ご相談者様がどれほどご両親の面倒を見られていたかを、一つ一つ聴き取り、報告書としてまとめて裁判所に提出しました。こちらが粘り強く主張を重ねると、遂に、相手方は、生前、ご両親とほぼ音信不通であったこと、ご相談者様が妻とともに介護を続けてきたことをしぶしぶ認めました。裁判所はご相談者様のご苦労を酌んでくださり、最終的には、ご相談者様が相手方の2倍、すなわち、遺産の6割超を取得するという非常に有利な内容で遺産分割協議が成立しました。
長期間にわたるご両親の介護の実態を丁寧に主張立証することで、裁判所にご相談者様の苦労を分かっていただけたのが大変大きかったと思います。裏付ける資料が乏しいとしても、看護した方にしかわからない苦労を報告書として提出することで裁判所を動かすこともありえます。法律的には寄与分というものが認められない限り、法定相続分を超えた有利な遺産分割というのは難しいのですが、ご両親の介護に尽力したことを裁判所にわかっていただければ、調停内で有利な遺産分割調停がまとまることもありますので、粘り強く主張することが大変重要です。