犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割 . #相続人調査

前妻の子供に相続分の一部を取得させることで分割協議を成立させた事例

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中村 傑 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人虎ノ門スクウェア法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

70代 女性

相談前の状況

不動産を複数所有していた夫が死亡したということで、その妻と子供から相続手続きについて依頼があった。ただ、夫には前妻との間に子供がいたが、連絡先すら分からないということであった。不動産の価値は3億円程度である。遺言はなかった。

解決への流れ

まず、戸籍と住民票調査で、実際に死亡した夫には、前妻との間に子供がいることが確認できた。これにより、法定相続分は、妻2分の1、子4分の1、前妻との間の子4分の1であることが分かった。そして、戸籍の附票から、前妻との間の子の現住所も判明した。依頼者である妻と子からは、夫は前妻と別れるときに、多額の財産分与をしているので、相続分を渡したくないという要望があった。ただ、夫が、前妻と別れるときに多額の財産分与をしていても、前妻の子供の相続分を減じられるわけではなかった。そこで、妻から事情をよく聞いてみると、妻自身、資産家であった両親から多額の相続財産を引き継いでおり、多額の資産を有しており、夫が過去に購入した不動産の銀行ローンの支払いをしていたり、夫死亡前に入所していた施設の費用を支払うなど、その金額は3億円弱に上ることが分かった。その裏付けとなる、銀行の取引明細や、領収書等の資料も確認できた。これらの事実を前提に、前妻の子供と接触し、妻には寄与分又は死亡した夫に債権があることを伝え、実際上は、遺産はほぼないことを理解してもらった。前妻の子供には、2百万円を渡し、その他の財産は、妻と子が取得する内容の分割協議書にサインしてもらった。

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中村 傑 弁護士からのコメント

本件では、深刻なトラブルにまで発展しなかったが、被相続人が離婚を経験しており、前妻又は前夫との間に子供がいる場合には、死後揉めないよう、遺言をしておく必要がある。また、被相続人の遺産について、法定相続人の一人がその原資を出していたり、被相続人の負債を支払っていたりする場合がある。これらの場合には、被相続人の財産形成に寄与したと評価され、その寄与分について、法定相続分より多くの配分を受けられることがあるので、そのような事実関係がないかについても調査する必要がある。